Yuko Tomita
〜その1〜
私の中にゆう子さんが流れこんだきっかけは 大学一年の春の出来事。
湘南に向かう先輩の車の中で流れていた2ndアルバム『DEUX』。
ゆう子さん、という存在は17歳のときに友人が作った「お気に入りテープ」の中に 何曲かゆう子さんの歌が入っていて、それを特に気にも止めず、
「これ誰の歌?」「とみたゆう子。。」
という会話の中でのみ知っていたが
海岸線を走る車の中で流れてきた『DEUX』は私の中で、もうほとんど衝撃波となって 私をつんざいた。
「これっ!!誰のアルバムですかっ??!」
と17歳の時とは違う鬼気迫るほどの勢いで先輩に聞いたら、
返ってきた答えは
「とみたゆう子」。 おお、良くぞ聞いてくれた、と言わんばかりにいろいろ説明してくれたその先輩は ゆう子さんのファンクラブの会員で知る人ぞ知る(?)ゆう子さんマニアだという事を その時初めて知った。
それから私はすべてのアルバムを買い漁ろうと決心していたら、 ほどなくまた偶然にゆう子さんファンの彼氏が出来た。
(いま思えばなんて、偶然の確率なのだろう。。)
その彼氏はゆう子ファン歴がすでに長く、全てのアルバムを持っていたため、『共有』させてもらうこととなり、一気に聞き上げ、さらに深いゆう子ワールドへとのめりこんでいった。
その頃の私の中でのゆう子さんのイメージは『誇り高い高貴な人』、『教養深いお姉さま』、 『生活感のない人』・・こんな女性になりたいな。。と憧れの対象。
ジャケ写でしか知らなかったが、身のこなしや暮らしぶりを想像してみたりした。
そして、一曲一曲に場面場面が浮かぶほど、その彼氏との想い出もつまっていった。
でもなぜか実物のゆう子さんに会わなくても満足できていた。
たぶん、その頃の私は自分の生活が一番楽しく、その暮らしのエッセンスとして 自分の暮らしの中で流れる歌として、ゆう子さんの曲を好きだったのだと思う。

そんな自分の暮らしも年月が経つにつれ、さまざまに変化して、考え方も変わっていった。
その彼氏とも何年か後にわかれ、わかれた直後は 聞くたび思い出がよみがえってしまうゆう子さんをあまり聞かないようにして 日常の暮らしに没頭していた。

でも月日がたつにつれ、不思議な事にその彼氏との想い出は薄れて行くのに ゆう子さんとゆう子さんの歌への思いは深まるばかり。
いま、どうしているんだろう・・活動しているのかな・・
忙しい仕事のふとした合間に思い出してはゆう子さんの曲をかける日が増えていた。
昔とは違った聞こえ方になっている不思議さも手伝って・・。

そんな日を過ごしていた私にインターネットという未知の世界が現れた。
検索、という事をしてみると、知りたい情報が得られる、ということも知った。
まだ始めて3日くらいのインターネットがなんぞやかもわかっていないころ、
私の指は『T・O・M・I・T・A・Y・U・U・K・O』・・と検索窓に向かって打っていた。


たくさん並んだタイトルの数々・・。
旧友に出会った気分、いや、離れ離れに暮らしていたお姉さんにやっと会えたような気分 と言ったほうがいいのだろうか。
あの頃、自分の暮らしを支えてくれていたのは紛れもなくゆう子さんの歌、 辛い時も嬉しい時もいっしょにいてくれた・・
そのことを、年月とともに徐々に確信してきており 活動華やかな時にせめて一度でも生の歌を聴きに行けばよかった・・と 後悔していた私に一滴の潤いが広がっていった。

インターネットのおかげで その後、レコード会社をかわってアルバムを出していた事を知り、 さらに私にとって新しいゆう子さんの歌を聴くことが出来た時の喜びは筆舌に尽くしがたい。

人間的に更に厚みが増した事を感じさせるゆう子さんの歌はさらに私の中に深く根をおろし 一生涯、聞きつづけて行くであろうアーティストとして私の中に不動の地位を築いた。
「このアルバムを出したのは、丁度わたしが会社を始めた頃・・その頃知っていれば もっともっとイヤな事も乗りきれたんだろうな・・」などの多少の悔しい気持ちも持ちつつ。

そして更に、たくさんのゆう子ファンの素晴らしい友人が出来た。
これも私にとって宝物となった。
同じ音楽に感動した者同士はこんなにも心の底から信じ合えるんだ・・ということも、ゆう子さんは教えてくれた。

BACK TO TOP